ドライヤー音 聴感アンケートレポート
2024年4月24日のSound Oneセミナーにて、音(ヘアドライヤー送風音)を聴きながら、
パラレル方式(2次元評価空間に、その音源番号をプロットする方法)で、聴感アンケートをご体験頂きました。
結果をまとめましたので報告いたします。
[概要]
●音源
大きい音が出る場合があります。ご試聴の際は、再生音量にご注意ください。
●評価語
評価語1:鋭い⇔鈍い
評価語2:うるさい⇔静かな
[結果]
●セミナー参加者26名 ドライヤー音8種 聴感アンケート結果(分布)
まず、8種類のドライヤー音それぞれの回答結果を散布図で示します。
音源ごとに回答に特徴が表れています。ぜひ、音源を聴き比べながらご確認ください。
青プロット:個人の回答、赤プロット:全員の回答の平均値
●セミナー参加者26名 & 小野測器グループ社内モニター60名 結果比較
ここからは、事前に小野測器グループ社内モニターが回答した聴感アンケートとの比較を交えてご報告します。
事前アンケートは、社内モニター60名を対象に「シリアル方式」「パラレル方式」2種類実施しました。
使用したドライヤー音や評価語などの仕様は、セミナ―参加者の皆さまに回答いただいたものと同一です。
■聴感アンケート回答(平均)
セミナー参加者と小野測器グループ社内モニターとで、年齢、性別、専門等、全く属性が異なる回答者でしたが、
8種類の音源の評価傾向は、ほぼ同じでした!
属性のみならず、再生デバイスや音量を制御しなくても、安定して相対的な評価ができていると言えます。
■聴感アンケート回答と音圧レベルとの相関分析
各音源の回答の平均値と、1/3オクターブバンド毎のA特性音圧レベルとの相関係数です。
実験1、2を下記として、もう少し詳細に確認します。
実験1:パラレル(小野測器社内モニター60名)
実験2:パラレル(セミナー参加者26名)
- 評価語1 [相関係数の正負] 音圧レベルが大きいほど「鈍い」場合:正、「鋭い」場合:負
実験1、2とも2.5k Hzで相関は正から負へ転じていて、鈍い/鋭いの印象をもたらす周波音の境界と考えられます。
実験1では、中低周波数で正の相関係数の値が大きいです。
一方、高周波では、実験2の相関(負)が高く、鈍い / 鋭いの周波数の感度は、
実験2の方が、高周波音に依存する傾向がうかがえます。
- 評価語2 [相関係数の正負] 音圧レベルが大きいほど「静かな」場合:正、「うるさい」場合:負
中低周波音の音圧レベルは、実験2の結果の相関(負)が高く、高周波音は、逆の傾向を示しています。
実験1では高周波音により「うるさい」印象が持たれていましたが、
実験2では、周波数に関係なく、全体的に‐0.6~‐0.7程度の相関を示しています。
■音質評価指標との関係性
アンケートに使用した音源の音質評価指標(ラウドネス・シャープネス)を確認すると、
シャープネスが最も大きい音源No.3は最も「鋭い」という評価、
ラウドネスが最も小さい音源No.7は最も「静か」という評価でした。
これらの音質評価指標は、各帯域の音圧レベルとともに、評価に影響している可能性があります。
●おわりに
セミナーへのご参加ありがとうございました。
2024年内のアップデートでは、音質評価指標(定常音ラウドネス、シャープネス)と聴感アンケートとの相関係数算出機能が搭載されます。
音質評価指標も合わせた考察がお手元で可能になりますので、ぜひトライアルプラン等でおためしください。
今後のセミナーでもご紹介を予定しております。